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10/6(土)〜10/14(日)の9日間でヨーロッパ4ヶ国(ドイツ,
スイス, フランス,
ベルギー)の鉄道に乗車してきました。アメリカでの同時多発テロやアフガニスタンへの報復攻撃などの一連の事件の中での訪欧でしたが、フライトは行きも帰りも満席で、観光地も各国からの観光客で溢れており....何か拍子抜けした感じでした。
ヨーロッパはちょうど紅葉が綺麗な時期で、スイスの観光列車も便によってはかなり混み合っていました(インターラーケン/モントルー間のパノラマ列車が満席でした)。
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10/6(土) フランクフルト空港〜(ICE)〜カッセル
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大韓航空でフランクフルトの第2ターミナルに到着しました。ここから友人の住むカッセルにICEで移動する為にフランクフルト空港駅に向います。フランクフルトの空港駅は第1ターミナルの真向かい(直結)にあり、第2ターミナルからは駅行きの無料バスを利用します(所要時間約10分)。私は預け荷物が無かったのでフライト到着から1時間で列車への乗り換えが出来ましたが、預け荷物がある場合には目安として以下の(乗り換え)所要時間が必要だと思われます。
第1ターミナル着(LH,
TGなど) 1時間〜1時間半
第2ターミナル着(JL, KL,
AF, CX, KEなど) 1時間半〜2時間
フランクフルトの空港駅は市内などに向う近郊線(Sバーン)が地下ホーム、ICE,
EC,
ICは地上ホームを利用しています。又、地上ホームには1等客専用のラウンジもあり、1等のユーレイルパスやジャーマンレイルパス,
区間乗車券などを所持していれば利用が可能です。ラウンジは斬新な北欧風のインテリアで、非常に優雅な雰囲気。仕事をする人の為のビジネスコーナーや会議室、バーカウンターなどもあり、航空会社のラウンジのようです。同様のラウンジがフランクフルト中央駅,
ケルン, ハノーバー,
ライプチヒなどにも設置されており、今後も様々な駅に設置される予定です。
ドイツのICEはヨーロッパの数ある列車の中でも快適さに定評がある列車です。特に1等の座席は1車両に48席(日本の新幹線のグリーン車は標準で68席)で非常に広々。各座席前には個人用テレビもあり(一部無い席もあります)、音楽4チャンネルとテレビ2チャンネルも楽しめます。また1等の乗客は食堂車のメニューを座席でオーダーする事も可能です(テーブルをセットした後に食事を食堂車から運んできます)ので、至れり尽せりです。私はコーヒー(DEM5=約300円)を頼みましたが、ちゃんとカップに入った割と美味しいコーヒーでした。食堂車は雰囲気も良く、前菜からデザートまでメニューも豊富ですので、時間があれば食事をしてみるのもお勧めです。
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フランクフルト空港駅のインフォメーション
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1等ラウンジ
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ICEの1等席の個人用テレビ
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10/7(日) カッセル〜(IR,
ICE)〜ケルン〜(寝台列車)〜バーゼル
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ドイツ国鉄が誇る高速列車ICEで今回の最初の目的地カッセルに到着しました。カッセルはフランクフルトからベルリンやハンブルグに行くICEが必ず停まる都市で(FRAからICEで1h30)、メルヘン街道のほぼ真中に位置します。グリム兄弟が30年程暮らしていたグリム童話ゆかりの町で、5年に一度開かれる現代美術の祭典「ドクメンタ」の開催地としても有名です。
とは言え日本人にとってはかなりマイナーな町なのですが、壮大なスケールのヘラクレス(山をまるごと使った仕掛け庭園?)や数多くの博物館・美術館など見所も沢山あります。また時の支配者が自分の趣味のちゃんばらの為に建てたという2分の1スケールの“なんちゃって城”は必見です。数世紀がたった今となっては重要文化財なのですが、かなり笑えます。
友人との短いカッセル滞在を終え、Kassel
Wilhelmshohe駅からケルンに向けIRに乗り込みます。IR(InterRegio)は地域間の急行列車で、スイスやイタリアでも運行されています。ドイツ以外の国で運行されているIRは基本的には座席予約が入りませんが、ドイツのIRは座席予約が可能です。このカッセル発の便の1等はオープンサロンが殆ど予約で満席でしたので、コンパートメントに座りました。列車自体は古いのですが、内装はICE風に改装されていて快適です。
Hammという町でICEに乗り換えてケルンを目指します。この列車はケルンに23:39着ということもあり乗客も疎らでした。1等の個人用テレビではアメリカのコメディー映画(ドイツ語吹替え)とバスケットの試合が放送されていました。途中にドイツ国鉄や沿線都市の観光局のCMが入ったりして、なかなか見応えがあります。また映画が終わると旅番組(スペインのマヨルカ島特集)が始まりましたが、提供はルフトハンザでした。とにかく暇つぶしには事欠きません。
ケルンに到着後、バーゼル行きの寝台に乗り込みます。西ヨーロッパのEU諸国内ではパスポートコントロールが無いのですが、この列車はスイス行きですので、予め車掌に鉄道パスと寝台予約券,
パスポートを預けます。この寝台列車はAMS-CGN-BSLと運行されているもので、同クシェットの中で私以外はAMSから乗り込んだオランダ人5人でした。パーティーの後らしく部屋の中には酒の匂いが立ち込めていました....。
寝台列車は結構揺れるのですが、揺れが丁度眠りを誘うのか、毎度直ぐに眠ってしまいます。この日も長時間の列車の旅で疲れていたこともあり、深い眠りについていました。その深い眠りを破ったのは、朝05:30の車掌のノック。シーツと枕カバーを集めにやってきました。かなり頭がボケている中、ベットをシートに直して、朝食を頂きます。最近は多くの寝台列車が朝食付になって嬉しいのですが、あまりに早いので誰も食べません。
バーゼルはスイス, ドイツ,
フランスの3ヶ国の国境が接する町で、ドイツ国鉄の駅(Basel
Bad)とスイス国鉄&フランス国鉄の駅(Basel
SBB)の2つの駅があります。この寝台列車はBasel
Badでパスポートコントロールの為に15分程停車した後、約5分で終点のBasel
SBBに到着しました。さっきまでは駅の表示も全てドイツ国鉄(DB)のもので停まっている列車も殆どがDBの白や地味な色の列車だったのに、約5分走っただけで全ての表示がスイス国鉄(SBB)のものになりホームに並ぶ列車もSBBの真っ赤な列車が殆どです。当たり前の事なのですが、非常に新鮮な感じがしました。
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カッセルのヘラクレスからの眺め
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話題の“なんちゃって城”
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IRの1等車内
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10/8(月) バーゼル〜ルツェルン〜(ピラトゥス鉄道)〜ルツェルン
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朝も早いのにバーゼルの駅は人でごった返しています。私の乗るルツェルン行の普通列車は隣のホームに既に停まっていました。私たちの旅行は「どれだけ多くの列車に乗れるか」というテーマに基いてスケジュールを組んでしまう為に、どうしても乗り換え時間が5分〜10分という場合が多々あります。勿論イタリアなどでは列車の遅延が頻繁に起こってしまう為に最低30分の乗り換え時間を取りますが、ここは定時出発率世界一を誇るスイス.....という訳で今回の旅行は10分以内の乗り換えが6回。幸いリュックにもなる小さなソフト・スーツケースでしたが、やっぱり大変です。直ぐにホームに貼ってある黄色の紙で出発便のホームの番号を確認します。
ヨーロッパの多くの国の駅では、その駅を発着する便の一覧表(朝から夜までの全ての便の詳細とホームの番号)が出発便は黄色、到着便は白で表示してあり、ホームや通路などに貼られています。またECやIC,
TGVなどが発着するホームには発着便の列車の編成図が貼ってあって、予め自分の乗る車両の停車する位置(1等の禁煙席はホームの「C」の表示の右側付近など)を知ることも出来ます。ヨーロッパは鉄道先進国と言われますが、身障者への配慮やこういったサービスなどを見ていると確かにうなずけます。
さてルツェルン行の普通列車はまだ暗い中を進んでいきます。周りには一面靄がかかっていますが、夜明けと共に幻想的な雰囲気を醸し出しています。早起きして電車に乗るのは辛いのですが、このような景色に出会うと「早起きは三文の得」という言葉の意味を実感します。完全に夜が明けた頃、ようやくルツェルンに到着しました。ここから5分の乗り換えでピラトゥス鉄道が発着するAlpnachstadという駅に向います(所要時間17分)。この路線はルツェルンからインターラーケンへ向う列車が通る路線で、スイス国鉄で唯一の1m幅の線路を走ります。その為に列車の幅も自ずと狭くなり、1等と言えども結構窮屈です(インターラーケンまでの直通列車は車幅の広い車両を使用しています)。
ピラトゥス鉄道の駅は、国鉄の駅から徒歩20秒。ここから世界最高の勾配を登る列車に乗り込みます。龍が住むというピラトゥス山まではこの列車の他、ルツェルンからロープウェーとゴンドラを乗り継いで来ることも可能です。又、これら3つの乗り物がセットになった周遊チケットも販売されており、スイスパス類を所持していれば、チケット売場で簡単に割引料金でチケットを購入出来ます。さてこの列車ですが、「凄い
!!
」の一言です。勾配率48%という凄まじい斜面を自力で登っていきます。深い森を抜けたかと思うと突然視界が開けたり、急斜面の岩の山肌にへばり付くように進んでいったりと、片時も目が離せません。約40分で山頂の展望台に到着しますが、あっと言う間でした。
展望台からは美しいルツェルン湖と湖畔に広がる古都ルツェルンの街並が一望できます。山頂にはホテルもあり、ホテルのオープンカフェでは贅沢な景色を眺めながらのティータイムを過ごすことも可能です。しかしながら、全く持って時間の余裕が無い私は山頂滞在を5分で満喫した後、ロープウェーで山を下ります。さすがに早い時間帯なので下山する人がいないのか、お客は私一人(登りのロープウェーは満員)。おまけに山頂で出たたくさんのゴミを搭載した巨大なゴミ箱と一緒です。スリリングな約6分間のロープウェーの旅を終え、ゴミ箱を運び出すのを手伝って、次はゴンドラに乗り換えです。30分掛けてルツェルンまで下るのですが、登山列車とロープウェーの後ですのでスリリングさには欠けます(景色はまあまあです)。
終点からルツェルン中心部までは市バス(No.1)で約5分。列車→登山列車→ロープウェー→ゴンドラ→バスの周遊で所要時間約2時間半の旅でした。最初の列車の部分を船(スイスパスでカバー)に変更することも可能ですし、(私の経験から)私と逆周りの方が段々とスリルを味わう感じで良いのではないかと思います。山頂のカフェでのんびり物思いに耽るのも良し、ゴンドラの乗換駅の隣にある“リュージュ(ボブスレーのような乗り物です)”のコースで遊ぶも良し、のんびりとハイキングしながら下山しても良し...ルツェルンで1日間フリーの日があれば、のんびりとピラトゥス山を訪ねてみてはいかがでしょうか?
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ピラトゥス鉄道駅
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岩肌を登っていきます
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山頂ホテルのカフェ
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ロープウェー
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10/8(月) ルツェルン〜(ウィリアムテル・エキスプレス)〜ルガノ
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ピラトゥス山のスリリングな体験を終え、再びルツェルンの街に戻ってきました。ルツェルンはコンパクトですが風情のあって可愛らしい街です。日本人にとってはヨーロッパ挙式のメッカですが、それも肯ける気がします。湖畔に広がる均整の取れた街並や街のシンボルであるカペル橋、リゾート地ならではの解放的な雰囲気が旅の気分を盛り上げてくれます。
ルツェルンの駅は大きな地下街もある一大ターミナル駅です。又、駅前には市バスのターミナルや船のターミナルも隣接し、交通の便は抜群です。これはスイスの街に共通して言えることで、スイスの街は何処に行っても列車からポストバス、バスから船といった乗り換えが非常に簡単です。それは各交通機関(国鉄・私鉄・登山列車・ロープウェー・ポストバス・市電・連絡船など)がSwiss
Travel
System(STS)というグループを形成し、互いのスケジュールを調整するなどして利便性を図っているためです。スイスは国鉄1社が国内の鉄道需要の殆どを占める他のヨーロッパの国々とは異なり、主要幹線=国鉄,地方路線&観光路線=私鉄で運行されています。よって早くから国鉄と私鉄や他の交通機関との連携体制が取られ、初めて訪れる旅行者にとっても使いやすいシステムになっています。実際にスイスパスはSTSの交通機関で共通に使え、鉄道だけではなく長距離バスや船,
各都市の市電やバスなども乗ることが出来ます。知れば知る程に使い勝手の良いパスです。
さて外輪船とパノラマ車がセットになった「ウィリアムテル・エクスプレス」はルツェルン駅前の1番埠頭から出発します。まずチケット売場で日本で発券したチケットを出して、パンフレットとミールクーポンを受け取ります。この船は定期便を兼ねていますので、湖沿いの村々に住んでいる人やリゾートに向う観光客で溢れていますが、ウィリアムテル・エクスプレス(WTE)の乗客はまず2階席(1等)に向います。階段を上ると眺めの良いオープンダイニングのレストランがあり、係員が迎えてくれます。ここでチケットを見せて、自分のテーブルに案内してもらいますが、スーツケースなどの大きな荷物は別の場所で預かってくれます。船内はレトロな感じで、旅気分も盛り上がります。WTEの料金には3コースのランチとパノラマ車の指定料,
通信費が含まれていますが、飲物は別ですのでまず飲物をオーダーします。ここでは日本では入手困難(スイス政府が輸出を制限しているため)なスイスワインがお勧めです。
ゆっくりと景色が流れていく中、コースランチが始まりました。今日のメニューは、ティチーノ風ミネストローネ,
仔牛肉のロースト&季節野菜のソテー,アイスクリーム・タルト。“料理も感動するほど美味しかったです”とのコメントは出来ませんが、流れ行く景色と雰囲気は最高です。約1時間程のランチを楽しんだ後、甲板に出て爽やかな風を感じながら、引き続き優雅な船旅を満喫します。ヘップバーンが2度の挙式を上げた小さな湖畔リゾートや花で彩られた可愛らしい村々に停まって乗客を降ろしたり乗せたりしながら船は進んでいきます。北欧のフィヨルドのように幅の狭い湖の左右には高く切り立った山が迫っていて、段々畑にはブドウが実り、緑の丘では牛が草を食んでいます。毎日あくせく働いている日々からは想像できない程、時間はゆっくりと優雅に過ぎていきます。すっかり日本での生活や仕事の事も忘れ、身も心も癒された3時間半の船旅でした。
終点のフリューレンの船着場から国鉄フリューレン駅までは徒歩30秒。本当に便利の一言に尽きます。ここで約20分程の待ち合わせの後、ルガノへ向うパノラマ車に乗車します。3番ホームに着いた列車は先頭車両のみがWTE用の1等パノラマ車で、残りの車両は普通の車両が連結されたICです。列車が出発すると車掌が検札にやってきて、「This
is from WilhelmTell
Express」と満点の笑みを浮かべながら、WTEの乗車記念品(WTEロゴ入りのVictorinoxの十得ナイフ)をくれました。こういう所はスイスの鉄道会社には関心します。登山列車に乗った時も、検札に来た車掌がパスを返す際に「Have
a nice
journey」と笑顔で接してましたし、観光業で成り立っている国だけに観光客の扱いがピカ1です。勿論スイス人の穏やかな気質もあるんでしょうけど。まー隣国のおフランスには言葉の分からない旅行者へ冷たい車掌も多いので、やっぱりスイスは何を取っても凄い部分が多いと思います。
列車は深い谷間を走っていきます。ダイナミックな滝の横を通ったり、高い橋を渡ったりと変化に富んだ景観ルートを通りながら、イタリア語圏に入ります。町の感じも人の顔(濃さ)も植物までもイタリアっぽくなった所で、ルガノに到着です。ルツェルンではコートを着ている人も多かったのに、ここでは半袖も多く(正直言って半袖では寒いと思うのですが)、同じスイスと言えども別世界。駅を出ると正面にはルガノ湖がばーん。お洒落リゾートへ乗り込みます。
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ルツェルン駅
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外輪船
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仔牛肉のロースト&季節野菜のソテー
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切り立った山の間を進んでいきます
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フリューレン〜ルガノ間のパノラマ車
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ルガノ
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10/9(火) ルガノ〜(ベルニナバス)〜ティラノ
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ルガノは開放的な南欧リゾートです。私たちがスイスに抱くイメージとは異なり、降り注ぐ太陽に咲き乱れる季節の花々、オープンカフェに陽気なイタリア語が飛び交う街。全てがイタリア的なのですが、それにスイス的な要素(表現し難いのですが..)が加わり、洗練された雰囲気です。日本人にはまだまだマイナーですが、“ヨーロピアン・リゾートの正統派”という感じで超お勧めです。
正にスイスは様々な文化圏が交わる国で、共通語だけで4つあります。通常、スイス国鉄はドイツ語名の頭文字を取って「SBB」と称しますが、フランス語圏では「CFF」、イタリア語圏では「FFS」と呼ばれています。日本では駅の名前は「JR大阪駅」「阪急梅田駅」という感じに運行鉄道会社別になっていますが、スイスでは同じ国鉄の駅でも、ドイツ語圏のチューリッヒでは「SBB
Zurich」、フランス語圏のジュネーブでは「CFF
Geneve」、イタリア語圏内のルガノでは「FFS
Lugano」となります。ちなみに各々の言語の境界線の町では、町自体の名前は2つあります。ドイツ語とフランス語の境界線の町ビール/ビエンヌ(Biel/Bienne)の駅には「SBB/CFF
Biel/Bienne」と表示が出ています。又、各言語圏を走り抜けるICやECでは、3ヶ国語+英語でのアナウンスも珍しくありませんが、ローカル線では基本的にその地域の言語のみとなります。しかしながら言語の境界線を越えた途端、アナウンスの言語も変わります。喋れるんだったら、最初から2ヶ国語でアナウンスすればいいと思うのですがいかがでしょう?
さてルガノから「ベルニナバス」でティラノを目指します。バスターミナルは駅の隣にあり、市バスやポストバス(もともとは郵便配達のついでに乗客を運んでいたのですが、現在はスイス国内の長距離バスを指します)もここを発着しています。出発時間の10分前にお待ちかねの「ベルニナバス」がやってきました....と思ったら、普通の観光バスに「Bernina
Express」と書いた紙(「○○高校ご一行様」みたいな)が出してあるだけ。少し旅情を削がれた気がしますが、再度気持ちを高めて出発です。
バスはルガノの街を抜けると、ルガノを見下ろす山の急な斜面を爆走して行きます。30分程走った所で、スイスからイタリアに突入します。何を隠そうこのルガノ/ティラノ間のベルニナバスは残りの2時間強は全てイタリア国内。殆どイタリアのみを走っていくにも関わらず、スイスパスは使用できますが、イタリアのパスではカバーしません(スイスの鉄道会社が運行している為)。
1車線しか無い細い道路をバスはクラクションを鳴らしながら爆走し続けます。多少怖い気もしますが、景色は最高です。絶対に日本人は来ないような幾つもの湖畔の小さなリゾートや湖を見下ろす高台を走っていきます。列車の旅ばかりしていますので、たまにはバスも新鮮で良いものです。
走り始めて約2時間で、トイレ休憩の為にドライブインに停まります。喉も乾いていますが、ここはイタリア。イタリアリラが無いと飲物も買えません。バスはここからミラノからティラノへ向う列車の線路と平行して走る道路に突入しました。ここからの景色がまた興味深く、左右に見える山々の中腹(200m位だと思います)だけに家々が密集していて、その下には家が全く無いという不思議な光景。またかなりの傾斜ですので、中腹まで上っていく道路もかなりジグザグしています。昔に外部からの敵の侵入を防ぐ意味があったのかもしれませんが、一見非常に住み難そうな感じがします。
そうこうしている間にティラノに到着です。このティラノにはイタリア国鉄の駅とレーティッシュ鉄道(RhB:スイス最大の私鉄)の駅が広場に面してあり、RhBの駅構内だけがスイス領です。その為にこのRhB駅構内に出入りする際にはパスポートコントロールがあります。とは言え、ジュースを買いに駅の外に出たり、暇つぶしに出たりしますので、その度にスイスとEUとの国境を行き来します。密かに貴重な体験です。先ほどのドライブインではイタリアの通貨が無い為に何も買えませんでしたが、このティラノの駅前に幾つもあるレストラン(オープンカフェで雰囲気もGoodです)はイタリアリラの他、スイスフランやドイツマルクも使用出来ますので、せっかくなのでランチにパスタを食べました。本場イタリアのパスタの筈でしたが、超マズ...。気を取り直して、ベルニナ特急の旅へ向います。
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ベルニナバス
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ティラノ(スイス側)駅
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本場イタリア調のパスタ
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「スイスの有名列車」と聞いて、まず殆どの方が思い出すのが「氷河特急」ではないかと思います。日本のパッケージツアーでも使用されますし、かなり人気の高い列車です。しかしながら実は氷河特急から氷河を見ることは出来ません(新しいルートが氷河の横を通らなくなった為)。もちろん氷河特急の路線はアルプスを堪能するには十二分ですが、氷河のダイナミックな景色を堪能するなら、お勧めは「ベルニナ特急」。世界5大景観列車にも選ばれたこの路線は3つの氷河を間近で見れるだけでなく、ループ橋やヘアピンカーブなど見せ場が短時間に次々やってくる超お勧めルートなのです。
始発のティラノ駅には右のホームにクール行きのベルニナ特急500便、左にはサンモリッツ行きの478便が停まっていました。どちらの便とも1等・2等の車両がありますが、500便は1等・2等共に全席が新しいパノラマ車、一方478便は従来からの古いタイプの車両を使用しています。又、478便は2等車両のみがベルニナ特急で、1等は普通列車扱い。その為に2等のみ座席予約可という変則的な運行です。日本人観光客はサンモリッツに滞在することが多いことから478便を利用することが多いのですが、同じ金額を払って車両は雲泥の差。500便はサンモリッツを通らないルートで運行されていますが、サンモリッツの隣村のポントレジーナには停車し、そこからサンモリッツまでは乗り継ぎ列車で約10分。実際に私が乗った500便の乗客の多くもポントレジーナで下車してサンモリッツへの乗り継ぎ便を利用していました。パノラマ車は窓が開かない事から普通車両を好む写真好きの方もいらっしゃいますが、ティラノ駅で並ぶ両列車はあまりに違い過ぎます。どうしても写真が撮りたい...そんな人以外は500便(下りは501便)がお勧めです。
《運行スケジュール(2000年夏季スケジュール)》
500便 ティラノ(14:50)/ポントレジーナ(16:47)/クール(18:49)
478便 ティラノ(15:11)/サンモリッツ(17:48)
さてクール行きの500便は先に説明いたしましたが、1等・2等共にパノラマ車という嬉しい列車です。昨年2000年に導入されたばかりのピカピカの列車は、木目を基調とした北欧風の内装で、センス抜群です。1等はシートが総革張り、2等もシート自体は布張りながら頭の部分は革張りです。大きな荷物を置く所もちゃんと車内にあり、旅行者への配慮も感じられます。
列車は定刻にティラノを出発しました。聞いてはいたのですが、本当に民家の軒先をかすめて走っていきます。列車というよりは路面電車の趣きで、家の窓辺に干してある洗濯物に手が届きそうな距離です。この驚きも5分程で、すぐにイタリアとスイスの本来の国境駅に到着します。ですが、ベルニナ特急の魅力がここから次々に出てきますので、まずはカメラのフィルムの枚数をここで確認しておきます。
直ぐに現れるのが、列車が360度回転するループ橋。くるり回転しながら高度を上げていきます。このベルニナ線は他の登山列車とは異なり、ラックレール式(通常の線路では斜面を登れない為に使用される噛み合せ式の線路)ではありませんので、このように円を描いて螺旋状に走ることで標高差を克服する方法やジグザグと180度のターンを何度も繰り返して高度を上げていく方法が随所に見られます。またこの鉄道会社は「出来る限りトンネルを掘らない」方針のようで、その為にダイナミックな車窓の風景を存分に楽しむことが出来ます。
ポスキアーボ湖を越えた所から列車は何度もヘアピンターンを繰り返しながら山を登っていきます。同じ風景が右になったり左になったりと忙しい区間です。ここを過ぎると突然左側にバリュー氷河が現れます。非常に近い距離の所を走っていくので、迫力満点です。割と氷河が見えている時間は長いのですが、構図を決めかねている間に終了...という訳で迫力満点の写真は撮れず終いでした。ですが、がっかりすることなかれ。直ぐに次の氷河がやってきます。
お次は氷河が溶け出した白濁色の水をたたえる神秘的な湖「ラゴ・ビアンコ」のバックに堂々としたカンブレナ氷河。一度で二度美味しい車窓が楽しめます。ここを過ぎるとひと時の休息時間(少し景色が単調になります)。車内販売でコーヒーでも買って、一休みしましょう。この車内販売は鉄道会社ではなく、Passaggioという食堂車や車内販売が専門の会社が行なっています。飲物やサンドイッチ程度の食べ物の他に、ベルニナ特急グッズも販売しています。ちなみにこの会社は氷河特急の食堂車も運営しています。
ベルニナ線最後の見所は、これまた大迫力のモルテラッシュ氷河。ティラノを出発してから、ここまでわずか2時間弱。洗濯物から始まったベルニナ特急は3つの氷河や神秘的な湖、数々のヘアピンカーブやループ橋など盛り沢山で、せっかく予約した座席にも殆ど座っていない状態でした。パノラマ車は窓が開かない為に写真が撮り難いのですが、出入り口付近の窓は完全に開く事が多いですので問題ありません。
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ティラノ駅のホーム
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ベルニナ特急500便1等パノラマ車両
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478便1等車両
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360°回転中
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バリュー氷河
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ラゴ・ビアンコ
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10/9(火) 〜(ベルニナ特急)〜クール〜(IR)〜ルツェルン
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ティラノからクール行きのベルニナ特急は、途中からサンモリッツ/ツェルマット間の氷河特急と同じルートに入ります。ガイドブックなどには氷河特急の見所はサンモリッツ/クール間だと書いてありますが、実はクール発着のベルニナ特急はそのルートも通る「一度で何度も美味しい列車」なのです。
一旦ダイナミックな風景が終了したところで、必殺の「折り紙作戦」に突入しました。単に席で折り紙を折るだけなのですが、周りの乗客の関心を一斉に集め、必ず誰かが話し掛けてきます。という訳で私は海外旅行に行く時は必ず折り紙を持参します(何かの本で読んでから実践しています)。これは列車に限らず飛行機でも同じで、リスボンに行く時に乗ったTAPポルトガル航空の機内ではスチュワーデスもみんな私の席に集まり、最後にはフルボトルの赤ワインまで頂きました(これがAFやLHだったら白い目で見られるかもしれませんが....)。
早速、隣りの4人席に座っていたシニアグループ(お爺ちゃんとお婆ちゃん達)が「Are
you making
flower?」と話掛けてきました。スイスは小国にも関わらず4つの言葉が話されていますので、バイリンガルどころかトリプリンガルも多いと聞きます。車掌が乗客に合わせてドイツ語とフランス語を話せるのも普通の事なのです。また観光大国ということで英語も話せるスイス人も数多く、このお爺ちゃん達のように老若男女を問わず話し掛けてくるのには驚きます。
彼らはスイスの北部の町から日帰りでベルニナ特急に乗りに来ているということで、氷河特急やベルニナ特急などのパノラマ列車はスイス人にも人気が高いとのことです。せっかくなのでスイスに関して興味があることを色々と質問してみましたが、この国は奥が深いです。永世中立国という平和的なイメージとは裏腹にスイスの軍事費は他国に比べて圧倒的に高く、最近まで全ての家や建物に地下シェルターを設置しなければいけない法律もあったそうです。このお爺ちゃん達の家の地下にもシェルターがあり、物置として利用しているとのこと。「スイスのパンがまずいのは、新しい小麦はシェルターに入れて古い小麦を出して使うから」と耳にしたことがありましたが、それに関してはきっぱり否定。「確かに古い小麦を使っているが、スイスのパンは美味しい」とのこと...。
又、スイスの物価は隣国などに比べてもかなり高いのですが、これは他国からの輸入に頼っていると自国の産業が弱くなることから、出来る限りスイス国内で生産されたものを消費する政策がある故。最近は外国からの安い輸入食料品を専門に扱うスーパーが郊外にあって人気らしいです(フランス産の肉類は国産に比べて半額以下だとお婆ちゃんが力説していました)。私も「COOP(スイスの駅前スーパー)」で小さめの鶏の丸焼き半身を購入しましたが、料金はCHF9.8(約700円)でした。確かにパリのスーパーの倍以上する値段です。これにパンとジュースを買って約1,000円ですから、普段のランチよりも高く付きました。
美しい夕焼けを眺めながら終点のクールに到着しました。乗り換えの列車のホーム番号は事前に調べていたのですが、わざわざお爺ちゃん達が駅員に聞いてくれました。何とも親切な方々です。乗り換え時間が20分以上あったので駅構内を散策しようと思っていたのですが、彼らがわざわざ私の列車が出るホームまで見送りに来てくれたので、とりあえずお別れを言って彼らを見送った後に散策開始です。クールの駅は大きなターミナル駅ですので、駅の窓口で明日のJALのフライトの搭乗券を出してもらってスーツケースを預ける、といった事も出来ますし(このサービスは全てのキャリアに適用で、スイス国内の主要駅で可能)、日本円からスイスフランへの両替だって出来ます(スイス国鉄が全国の駅で行なっているサービスで、レートも良いです)。
ポストバスのターミナルをぶらぶら歩いていると、先程のお爺ちゃんたちに遭遇。彼らも散策していると思いきや、私が乗るはずの列車の1等車両に私が乗っていないので、私が迷子になったのではないかと探し回っていたとのこと。どこまでも親切な方々です。改めて私の乗る列車のホーム番号を教えてくれた後、自分たちが乗る列車のホームに向いました。私も時間が迫ってきましたので、列車に乗り込みます。窓側の席に腰を下ろた時に向うのホームから手を振る人たちが.....あのお爺ちゃん達です。彼らが乗る列車ももうすぐ出発するというのに、私の安否(?)を気遣って最後の見送りです。列車出発まであと5分。とうとう彼らは私の列車が出発して、私が見えなくなるまで手を振り続けてくれました。感動...。
夕食を買いに食堂車へ。スイスやドイツの食堂車は1等と2等の車両の間にあり、1等側がレストラン、2等側がキオスク(サンドイッチや飲物が売っていて、椅子はなくテーブルのみ)になっています。混んでいる時間帯は一人でレストランのテーブルを使うのは忍びないので、キオスクでサンドイッチを2つとコーラを購入して自分の席に戻りました。3点でCHF15(約1,100円)でした(高い)。湿った黒パンにサラミとチーズが挟んであるサンドイッチは見た目は美味しそうではありませんが....私のこれまでの人生の中で食べたサンドイッチの中でも胸を張って「一番マズイ」と言える一品でした。うぇー。
途中の駅で乗り換えて、昨日の朝に立ち寄ったルツェルンへ再び向います。列車が到着したのは21:27。明日の出発は07:34ですので即就寝です....と思いながらもクラブへ。ルツェルンのテクノな夜が更けていきました。
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お爺ちゃん&お婆ちゃん
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ランドヴァッサー橋(途中)
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ランドヴァッサー橋(後)
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クール駅のチェックインカウンター
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湿った黒パンにサラミとチーズ....
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スイス国鉄のIRの1等車
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10/10(水) ルツェルン〜(ブリューニックパノラマ)〜インターラーケン
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まだ夜の明け切らないルツェルンからユングフラウ地方の拠点インターラーケンを目指します。この路線には1日4往復(夏季)ブリューニックパノラマと呼ばれるパノラマ車が運行されていますが、私が乗車したのは始発の07:34。夜型人間の私には非常に辛い時間帯なのですが、列車の旅は朝に限ります。段々と夜が明けるにつれ周りの景色が幻想的になり、朝焼けに染まるアルプスの山々にはひたすら“感動”です。1日が長く使えることもあり、早朝便お勧めです。
ルツェルンからレマン湖畔のモントルーまでのルートは「ゴールデン・パス」と呼ばれるスイス最大の観光景観路線です。と言いましても最低2回の乗換えが必要で、「?」という感じです。実はルツェルン/インターラーケン間はスイス国鉄(SBB)、インターラーケン/ツヴァイジンメン間はBLS、ツヴァイジンメン/モントルー間はMOBという3つの鉄道会社が運行しており、これら3つの会社が「GOLDEN
PASS
LINE」という共通のロゴのもと、乗り継ぎサービスを実施しています。「何だ、乗り継ぎなら面倒」と言うなかれ。これら3つの鉄道会社は各々に最新パノラマ車両を導入し、言わば“個性的な列車”のオンパレード状態。また乗換地となるインターラーケン自体が観光拠点であり、日本人に特に人気の高いグリンデルワルドへの乗換駅でもありますので、ゴールデンパスの途中で宿泊を入れるのもお勧めです。
さてルツェルン発のブリューニックパノラマは、先頭から1等パノラマ車・1等・食堂車・2等の車両編成です。この朝一番の便は1等パノラマ車が満席なのにも関わらず、通常の1等車両は乗客はぱらぱらで、2等車両は通勤の人で割と混んでいました。また食堂車は朝食を取る人で出発前に既に満席。1等パノラマ車の予約が既に日本から入らなかった私は、不本意ながら通常の1等車両へ。という訳で、この区間のパノラマ車の予約はお早めに!
列車は暗がりの中を出発しました。直ぐに左側に湖が見えてきて、早速車窓に釘付けになります。また暗い中、線路沿いの家々では(当たり前ですが)普通の朝の営みが行なわれています。何故か嬉しい気分になります。少しずつ朝を迎えるにしたがって、湖や家々,
緑の丘やアルプスの峰々が段々とはっきりと見えてくるようになり、湖全体に掛かった靄と朝陽が本当に幻想的な風景を醸し出しています。
最初は平坦だった地形もすっかり朝を迎えた頃には山間部に入り、線路沿いの家々もスイス風の可愛らしい造りになっていました。小さな湖沿いの小さな村に小さな教会が立ち、緑の平原では牛が草を食んでいます。正に「ハイジの世界」という感じです(ハイジの故郷マイエンフェルトは別の地方ですが..)。前日のベルニナ特急で体験したダイナミックな景色から一点、心が癒される牧歌的な風景が車窓を流れていきます。
この路線の最大の見せ場であるブリューニック峠越えに入りました。列車はぐんぐんと高度を上げ、森林地帯を走っていきます。かなりの傾斜を上っているのですが、非常にスムーズです。峠を越えると今度は急な下りに突入しますが、ここからが“素晴らしい!”の一言です。急な山の右斜面に沿って線路が引かれていますので、右側に大パノラマが開けています。遠くには雄大なユングフラウの山々が、手前にはジオラマのようなマイリンゲンの町と酪農風景が見えている中、列車は下り線路を駆け抜けていきます。
山を下り終わるとマイリンゲン駅に停車し、ここでスイッチバック。この光景はヨーロッパの大きな駅では頻繁に見られます。特にイタリアは大きな駅の殆どが終着駅型(どん詰まり駅)の為、このような駅では一旦ホームに入った列車は再度出発する時には逆向きになります(ですので運転席も前後にあります)。よくガイドブックなどに「○○の区間は右側がお勧め」などと記載されていますので、そのような座席予約のリクエストを頂くことも多いですし、「進行方向で」というリクエストもかなり頂きます。しかしながらヨーロッパ内には上記のような終着駅型の駅が数多くあり、そのような駅に停まる度に向きが逆になりますので、ヨーロッパにはもともと進行方向や右側・左側という概念が無く、そのようなリクエストも出来ません。ミラノ/ナポリの直通列車で出発時に右側の進行方向だったとしても、フィレンツェで一旦逆になり、ローマを出発する時に再び元に戻るといった風です。
マイリンゲンを出発した列車は次にブリエンツに停車しました。この町は湖沿いの小さなリゾートで、ロートホルン鉄道のSL(スイス唯一の非電化路線で、可愛いミニSLが山頂まで走っています)の発着地としても有名です。日本人にはまだまだマイナーですが、日本人受けしそうな要素を兼ね揃えたリゾートです。この町の主要観光業の連合であるブリエンツマーケティング(鉄道会社と博物館,
木彫工芸店,
遊覧船会社)の日本オフィスもありますので、日本人観光客の受け入れも万全です(Tel:
042-766-7568)。
ブリエンツを出ると、20分程でインターラーケン・オスト駅に到着です。ここから登山列車でユングフラウヨッホを目指します。
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日の出前のルツェルン(カレル橋)
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07:25
日の出前のルツェルン駅
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ブリューニックパノラマ1等パノラマ車
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朝霧に包まれた湖
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ブリューニック峠越え
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ブリエンツ駅
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10/10(火) インターラーケン〜ラウターブルンネン〜クライネシャイデック
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日本人観光客も多いインターラーケンには、オスト(東)駅とヴェスト(西)駅の2つの駅があります。町の中心は西駅で、ユングフラウヨッホなど各方面への列車が発着する鉄道の中心は東駅です。しかしながら2つの駅の間は目抜き通りを歩いて15分程ですし、連絡バスも出ています(鉄道旅行だからと言って無理して東駅の周辺にホテルを取る必要もないと思われます)。
ユングフラウはスイス3大名峰(他にマッターホルン,
モン・ブラン)の中でも最も日本人観光客に人気が高く、スイス周遊ツアーのハイライトにもなっています。ヨーロッパで1番高い所にあるユングフラウヨッホ駅(3454m)までは、インターラーケンから3つの鉄道会社を乗り継いで、片道約2時間半。西回りのラウターブルンネン乗換えと東回りのグリンデルワルド乗換えの2ルートで行く事が出来ますので、行きと帰りで別ルートを楽しめます。http://www.jungfraubahn.ch/deutsch/pages/RE/RE_JnKe1.htm
私はまずインターラーケン東駅からラウターブルンネンに向います。ホームの行き先表示は「Lauterbrunnen/Grindelwald」となっており、列車の前半分がラウターブルンネン行き、後半分がグリンデルワルド行きになっていますので、乗る車両を間違えないように(列車は途中で分割され、二手に分かれます)。最初の鉄道会社BOB(ベルナーオーバーランド鉄道)の区間はこれからの旅に思いを馳せるウォーミングアップ区間。20分でラウターブルンネンに到着。
ここで次の会社WAB(ウェンゲン・アルプ鉄道)に乗り換えます。ここに来て初めて日本人のツアーご一行に遭遇しましたが、このグループは定期便ではない専用便にて早々と出発しました。これは決してこのツアーが特別なのではありません。この先の路線は線路の幅が狭くなることから車両の幅もぐっと狭くなり、1車両あたりの定員がかなり少なくなります。またかなりの傾斜を登って行く為に沢山の車両を連結できません。という訳で1便あたりの定員が少なく、グループが定期便を利用すると一般客が乗れないといった問題も起こってくる訳です。という訳で、スイスの登山列車は一般客は全く予約の必要がないにも関わらず、グループは予約が必要なのです。
ヨーロッパで2番目の落差(300m)を誇るシュタウプバッハ滝を右に見ながら小さな登山列車で出発です。快晴の中、黄色い電車はぐんぐんと高度を上げていきます。10:10発のこの便は立ち席も出る程の混みようで、ドイツ系の観光客の他は韓国人の小グループとインド人のカップルなど。15分程で高原リゾートのウェンゲンに到着です。いかにもハイキング風の格好をした欧米系の人たちが一度に降り、残ったのはいかにも観光客風な格好の私たち。すっかり空き空きになった列車は更に高地を登っていきます。
高度は既に森林限界を超えたのか、木の無い緑の丘が広がっています。インド人カップルが騒いでいるので何事かと思えば、知らない間に右前方にユングフラウが雄大な姿を見せているではないですか!素晴らしい!!山頂付近に多少の靄がかかっているものの、ようやく感動の初対面です。思えば学生時代にも同ルートでユングフラウヨッホに行きましたが...吹雪。ようやく数年越しの「リベンジ」が叶いました。更に視線を左に移すとメンヒとアイガーの峰もくっきりと綺麗に見えています。「真っ青な空にアルプスの雄大な峰々」...スイス3度目にしてようやく味わうスイスの醍醐味です。
列車はクライネ・シャイデックに到着しました。この駅からの峰々の眺めは素晴らしく、特に“魔の山”と呼ばれ今世紀まで人間の登頂を阻んできたアイガーの垂直の北壁などは迫力満点です。ここでユングフラウ鉄道(JB)に乗り換えてヨーロッパ最高峰の駅ユングフラウヨッホ駅を目指します....というのが普通のスケジュールなのですが、私は極端に急ぎ足の旅ですので早速下山となります。このユングフラウ鉄道には前回乗車しましたが、周りの風景が見えているのは最初だけで、残り殆どはトンネルの中です。しかし実は凄いんです。トンネルが掘られているのは、アルプスの岩壁の内部。それも魔の山アイガーからお隣りのメンヒを通り、そしてユングフラウ中腹の展望台に出てくるという岩盤突き抜けルート。トンネルは岩肌近くに掘られていて、途中駅では5分程度の停車時間の間にガラス張りの窓から外の景色を見ることも出来ます。多くの登山家のチャレンジを阻止し続けてきた垂直に切り立つ「アイガー北壁」のど真ん中にも駅があり、この駅は救助隊の出発地になっているとのこと。決死の覚悟で登頂に挑んでいる登山家には、自分が苦労して登っている北壁の途中に不自然に並ぶガラス窓と外を眺める観光客の姿はどのように映るのでしょう??しかし、この鉄道が既に90年の歴史を持つことには、ただただ関心するばかり。ちなみにアイガー北壁の初登頂は1938年で、鉄道はそれより26年も前の1912年に全線開通。工事が難航し、破格の費用が掛かったそうです。
「TOP OF
EUROPE」ユングフラウヨッホはあまりに有名ですが、ツアーで訪れるのは1時間。展望台からアルプスの峰々を見た後に「氷の宮殿」を見て、カフェでお茶を飲んで、即下山が定番。せっかく個人旅行で行くのであれば、万年雪を抱く山頂でのサマースキー&スノーボード(CHF30:用具とリフト券のセット)や犬ぞり(CHF6)、スノーディスク(そり:無料)などを楽しんでみましょう。高地ですので、くれぐれもはしゃぎ過ぎないように。
山の天気は変わりやすいですが、朝は比較的天気が安定していますので、朝食を抜いてでも朝早くの出発がお勧めです。ユングフラウヨッホ展望台のレストランで遅めの朝食を取るのも手です。3つの鉄道会社は通年運行していますので、これからの時期でも大丈夫。夏なら南仏のニースなどのリゾートと組み合わせれば、ビーチ&スキーの旅行が一度に楽しめます。
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インターラーケン東駅
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ラウターブルンネン駅
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ウェンゲン駅のホーム
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インド人カップルは検札中
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念願のユングフラウヨッホと対面
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クライネシャイデック駅とアイガー北壁
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10/10(火) クライネシャイデック〜グリンデルワルド〜インターラーケン
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雲一つ無い晴天です。今日ユングフラウヨッホに行けば素晴らしいパノラマが見れるのは間違いないのに...と後ろ髪引かれながら、クライネシャイデックから下山開始です。さすがに午前中に下山してくる観光客は殆どおらず、すれ違う登り電車は満席なのに、私が乗った便は殆ど私一人の為の運行。前の日までは雲が多く天気が悪かったそうで、登り電車に乗っている人の中にはようやくこの日にユングフラウの姿を拝めることになった人も多いのでしょう。
このクライネシャイデック/グリンデルワルド間の路線は、右にずっとアイガーを眺めながら走るダイナミックなルートです。アイガー北壁の真横を通るので、ガイドブックに載っている北壁の詳細(登山家が何度も遭難した段差部分や初登頂のルートなど)が肉眼で確認できます。他の山が万年雪に覆われているにも関わらず、このアイガー北壁はほぼ垂直に切り立っている為に雪も寄せ付けず岩肌をさらしています。かなり威圧感がありますが、それ故に一種特異な存在感をアイガーにもたらしています。
列車のアイガービューを堪能しながら、グリンデルワルドへ入ります。この小さな村は年間100万人の観光客を迎える一大アルペンリゾート。それでいながら素朴な雰囲気が漂う居心地の良い場所です。アイガーの雄大な姿も独り占めですし、建物はスイス独自のシャレースタイル、日本語観光案内所もありますので、日本人観光客が押し寄せるのも当然のこと。しかしながらシーズンによっては日本人宿泊率が80%(ホノルル以上?!)とも言われ、村にも日本語が溢れていることから、「軽井沢に行ったみたいだった」という意見も。ベストな立地と雰囲気を備えていながら「日本人が多い」という理由だけで文句を言われるのも何ですが、その手のことを気にする人には不向きかもしれません。
ともかく、日本語が通じることは悪いことではありませんし、語学の苦手な日本人にとっては多くのレストランに日本語メニューがあるのは安心です。前日のマズイ昼食&夕食のトラウマから抜け出せない私は、スーパーで買出しをして、駅前の広場(駐車場?)でランチタイム。さすがにチーズは激ウマです。ダイナミックなアイガーを見ながらの青空ピクニックは駐車場を行き交う人を気にしなければ最高です...。
1時間のグリンデルワルド滞在を終えて、再びインターラーケンに戻ります。グリンデルワルドの駅は終着駅型で、ホームは2つ。囲いもなくホームと道路の段差がないので、路面電車の雰囲気です。私が乗る列車に次々と人が乗り込んでいくので、「生活路線も兼ねているので意外と乗客が多いんだな...」なんて関心していたら、次々と即座に逆側から降りていきます。何かと思えば、地元の人が線路の向こう側に行くのに列車を通り抜けているだけ。結局、昼過ぎの中途半端な便で下山するのは、場違いなドレッシーな格好とヒールで特大のスーツケースを転がしてきた日本人の女の子たちや旦那が妙に奥さんを気遣うハネムーン風の日本人カップル、「それなんぼでこうたん?私は○○フランやったで」とスイスまで来て安さ自慢をする関西のおばはん達など、多くが日本人でした。アメリカのテロの後ということで今回は全体的に日本人遭遇率が低い旅だったのですが、普段はこの列車は日本人で埋め尽くされているのでしょうか。怖い光景です。
列車は牧歌的な風景の中をのんびり走っていきます。スイス独特のシャレータイプの家々のベランダには赤やピンクのゼラニウムが彩りを添え、牧草地ではカウベルを付けた牛がのんびり草を食んでいます。又、何万年も昔の氷河が溶け出した白濁した川の流れが列車と共に進んでいきます。こんな癒し系の風景を窓全開で(私の車両にはお客が疎らでしたので)満喫しながら、インターラーケン東駅に再び戻ってきました。息つく間もなく、モントレーに向います。
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切り立ったアイガー北壁
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グリンデルワルド駅
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グリンデルワルドの駅前通り
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10/10(水) インターラーケン〜ツヴァイジンメン〜モントルー
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氷河特急やベルニナ特急などと同様に日本人観光客に人気の高い景観列車「ゴールデンパス・パノラミック」は、一昨年までは「クリスタル・パノラマ」として運行されていました。雄大な景色が楽しめる他のルートに比べて地味なこの路線を一躍人気にしたのは、他でもないパノラマ列車。通常のパノラマ列車と異なった独特の車両は乗車する価値大です。夏季に1日3往復が運行されるパノラマ列車の1等には、180°の展望が満喫出来る超人気のVIPシート8席を始め、ソファーとテーブルが並ぶラウンジシートやバーカウンターを備えています。この8席のVIPシートの人気は凄まじく、3ヶ月前の予約開始と同時に埋まってしまう程です。
インターラーケンからモントルーからは2つの鉄道会社を乗り継ぎます。前半のインターラーケンからツヴァイジンメンの区間がBLSで、残り区間が上記の「ゴールデンパス・パノラミック」を運行するMOBの担当です。これらの列車はスイス国鉄(SBB)が運行するルツェルン/インターラーケン間のブリューニックパノラマと共に、車体に金色で「Golden
Pass
Line」の共通ロゴが描かれておりホームでの判別も簡単です。今年からBLSとMOBが同じ列車番号での通し運転となり、予約も通しの1区間で取れるようになりました(1日2往復)。
BLS
2374便 インターラーケン東駅(13:36)/ツヴァイジンメン(14:39)
MOB
2374便 ツヴァイジンメン(14:50)/モントルー(16:46)
※上記が私が乗車した列車で、座席番号は通しで10号車の12番でした
BLSの列車はインターラーケン東駅の端の8番ホームから出発です。今日のハイライトは後半部分ですので、BLSの列車には何の期待もしていなかったのですが、この列車は今回の旅行最大の驚きです。10号車は「BLS
CLUB」と名付けられた特別車両で、シートではなく四角いソファーが並んでいます。それも普通のシートと同じ並びで、通路を挟んで左側に1名用ソファー、右側に2名用ソファーが連なっています(非常に表現し難いですが、異様な光景です)。また奥にはレトロなバーカウンターがあって、アルコールを楽しむことも可能です(一般席とはガラスで仕切られており、喫煙もOK)。
さあ出発です。列車はインターラーケン西駅で乗客を乗せた後、トゥーン湖に沿って走っていきます。湖でレジャーを楽しむ人たちを眺めながら、15分程で交通の要所シュピーツに到着。この駅はスイス各地のみならずイタリア方面やドイツ方面への列車が数多く集まる駅で、町が小規模な割に駅が大きく、各方面へ乗換えをする人たちでごった返しています。ここで沢山の乗客を乗せた後、内陸部に向います。ここから車窓は一転してパノラミックな酪農風景になります。手前には延々と続く緑の牧草地に無数の牛、バックには山々が見渡せます。悪くない景色なのに、それまで雄大な景色を見続けてきたので、少し退屈です(贅沢ですが...)。
ツヴァイジンメン駅でMOBのパノラマ車に乗換えです。本来であれば上記のVIPシートで優雅な鉄道の旅を楽しむところなのですが、残念なことにこの便は通常のパノラマ車でした。それでも列車の数箇所にテレビモニターが設置してあって、現在走っている位置や各停車駅の案内などがあったりして、かなり設備は充実しています。途中、セレブがこぞって訪れるリゾート「グシュタード」や「シャトー・デー」などを通りながら、牧歌的な風景を走っていきます。モントルーの手前で下りに入る所からが見せ場で、突然目の前に湖が開けたかと思うと、急な坂を下ってモントルーに入ります。
同じスイス内でありながら、2日前はイタリア語圏、昨日今日はドイツ語圏、そしてモントルーはフランス語圏。その度に駅構内の案内表示も「出口」なら「Uscita」「Ausgang」「Sortie」と変化し、毎日が新鮮です(大変です)。このモントルーから再び列車でドイツ語圏へ入り、ツェルマットを目指します。
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インターラーケン東駅に停車中のBLSの列車
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ソファーが整然と並ぶ異様な車内
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アルコール&煙草OKのバー
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のぞかな車窓風景
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ツヴァイジンメン駅
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1等パノラマ車
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10/10(水) モントルー〜シエール〜フィスプ〜ツェルマット
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モントルーは非常に雰囲気のある湖畔のリゾートです。毎年7月に行なわれる「モントルー・ジャズ・フェスティバル」で有名なこの街は、実は観光国スイスの中でも一番最初(18世紀)の由緒あるリゾート。レマン湖畔の恵まれた気候と風光明媚な風景が魅力です。街自体の優雅で落ち着いた雰囲気も然ることながら、日本のツアーでも訪れる「シオン城」もあり、是非のんびり訪れてみたい場所のひとつです....と言いながら、全く持って時間の無い私は早速ツェルマットに向けて出発です。
“世界的リゾート”と言う割には古ぼけた簡素な構えの駅(失礼)から出発です。これから乗車する列車はシエール(Sierre)行きのD(地域間快速列車)なのですが、これと言って何も無いシエールが何故終点なのか不思議です。このシエールという町がフランス語圏とドイツ語圏の境目だからでしょうか?フランス語圏内ということもあり、妙にアンニュイな空気が車内を流れています。乗客の多くは通学や通勤の人たちが主で、観光客指数ほぼ「0」。日頃は主に新幹線系の列車やEC,
ICなどを利用することが多いのですが、稀にこのような列車に乗ると非常に新鮮です。
列車は湖沿いを反れて、ひたすら“畑ゾーン”に突入しました。この路線は私が乗車した数多くのスイスの路線の中でも最も退屈な路線でしたが、観光の要所も幾つかありますのでご紹介します。まずモントルーから30分程のマルティニ(Martigny)。ここは古代から南北ヨーロッパを繋ぐルート上にあり、ローマ時代の円形競技場跡などがある他、スイス3大名峰の一つのモンブランの麓のリゾートであるシャモニーに直行する登山列車「モンブラン・エクスプレス」と山岳リゾートとして名高いヴェルビエへ向う「セントバーナード・エクスプレス」の発着地です。何故にフランスのモンブランがスイス3大名峰と呼ばれるのかはさて置いて、このモンブラン・エキスプレスは世界の名だたる景観列車の中でも非常に人気の高い列車。スリリングな列車の旅が楽しめます。
またマルティニーから15分程で到着するシオン(Sion)は、歴史的な建造物が並ぶ素朴な旧市街や山頂の古城や教会も然ることながら、スイス随一の高級リゾート「クラン・モンタナ」への入口として知られています。日本人にとっては「ゴルフや乗馬などをわざわざスイスで...」と思う所ですが、実際にクラン・モンタナに行った私の友人曰く「絶対お勧め」とのこと。私が乗車した列車の終点のシエールからケーブルカー(約15分)も出ていますので、アクセスも良好です。“ブルジョア”なヴァカンスを!
シエールでローカル列車に乗換え、フィスプ(Visp)に向かいます。ツェルマットに行く際の乗換駅は通常はブリーグ(Brig)なのですが、ジュネーブ方面から来る際は次の駅フィスプとなります(国鉄とツェルマット鉄道の路線がこの区間は重複しているため)。フィスプの駅の構造は全くブリーグと同じで、国鉄駅の外にツェルマット鉄道の駅があります。外と言っても国鉄駅を出て目の前ですので所要時間は約10秒。乗換えには5分もあれば十分です。このフィスプはツェルマットに向かう際の通過点のような感覚なのですが、駅前にはオープンエアーのレストランが並び、何と日本語のメニューもあります。日本人観光客が実際に沢山訪れているのか、日本人観光客を見込んで作ったのかは分かりませんが、「ジャパンマネー」恐るべしです。
この日の最終便でツェルマットに向かいます。本来ならば素晴らしい車窓が堪能できるのでしょうが、周りは既に真っ暗。相対的に家が少ないせいもあり、どんな場所を走っているのか見当が付きません。という訳で、今回の旅の教訓「景色を楽しみたい区間は夜間に乗らない」。当たり前なのですが......。その真っ暗な景色に変化が表れるのが、ツェルマットの1つ手前の駅のテッシュ(Tasch)。ツェルマットは環境保護の為にガソリン車が乗り入れられない為に、この駅には広大な駐車場(見たことない程の広さ)があり、マイカー利用者は全てこの駅に車を預けて列車でツェルマットに向かいます。このようなガソリン車乗り入れ禁止の村(他にユングフラウ地方のウェンゲンなど)の中では電気自動車と馬車のみが交通手段で、排気ガスによる空気汚染を防いでいます。綺麗なアルプスの山々が今後も変わらず堪能できるのには、このような努力があるのです。何ともスイスは奥が深い国です。
ツェルマットに到着です。さすがに危険は全く感じませんが、ほぼ真っ暗です。宿泊先の「アルペン・リゾート」はツェルマットの駅から徒歩5分で、家庭的で感じの良いホテルです。やはり列車での旅行は駅から近いホテルに限ります。明日は早起きして、朝日のツェルマットを拝みに行きますので、早々と就寝です.....。
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マルティニー発「セントバーナード・エクスプレス」
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フィスプ駅
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フィスプ〜ツェルマット間の列車の車内
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10/11(木) GGB ツェルマット〜ゴルナーグラート往復
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登山家ならずとも憧れるマッターホルンにとうとう対面です。昨晩は夜遅くにツェルマットに到着したので、その雄大な姿にお目に掛かるのは今日が初。朝日のマッターホルンを展望台から間近に臨む為に、早起きして出発です。持っていったガイドブックには「一度目で全容を眺められたなら、超ラッキーと思ってさしつかえない」と書かれているだけに天候が気掛かりだったのですが、何と雲一つない快晴。おまけに天気を確かめる為にホテルの部屋のベランダに出た瞬間に待望のマッターホルンと初対面です。尖った山の斜面が朝日でオレンジに輝き、予想をはるかに上回る感動です。日頃の行いが良くない(?)割には最高の天候に恵まれました。
ツェルマットの町からゴルナーグラート展望台までは、ゴルナーグラート鉄道(GGB)で43分。GGBの駅はツェルマットの駅前にあります。私が乗ったのは2便目の08:00出発の便。このシーズンであれば一番綺麗なマッターホルンに出会える便だと思います。乗客は展望台で働く人たちと私と日本人ツアー客のみでしたが、全く勿体無い話です(10:00前後の便が一番乗客が多かったです)。その日本人ツアーの団体の数が凄く、約50名。殆どが中高年以上のお客さんです。添乗員と話をした所、もともとの参加予定者は倍近くだったのですが、テロの影響でキャンセルが続出したとのこと。また直前にスイス航空の破綻で利用航空会社がルフトハンザ・ドイツ航空に変更になって、ZRH直行のフライトのはずが、FRAとMUCで2度の乗り継ぎに変わったそうです。正に踏んだり蹴ったりですが、スイス3大名峰でのハイキングが主な目的だと言うことですので、最高の天気に恵まれて何よりです。
列車が出発すると直ぐ右手にマッターホルンが姿を表します。何とも堂々とした立派な山です。と同時にツアー客の皆さんのカメラのシャッターが一斉に切られます。この列車は全席自由席ですが、右側の景色が良いことは予め知っていましたので私は乗車と同時に先頭車両の一番前の右側を陣取っていました。確かに終始最高の眺めを満喫できたのですが、それが災いして、ツアー客の方々が入れ替わり立ち代り私の席まで来て写真を撮って行くという落ち着かない状態でした。
「感動」以外の言葉の見つからない43分間の登山列車の旅です。私の隣りに座っていらしたご夫婦は旦那さんの退職を期に毎年ヨーロッパを旅行しているとの事でしたが、旦那さんの撮る写真の数は凄いです。私自身もこの列車の中から7枚のマッターホルンの写真を撮ったのですが、この方は乗車時に新しく入れた37枚撮りのフィルムが終点に着く前に終わってしまいました。確かにこの山は角度が変われば表情が変わり、何枚でも写真を撮りたくなります。それにしてもフィルム1本はちょっと多すぎる気がしますが、それ程に魅力の尽きない雄大な姿なのです。
終点のゴルナーグラート駅の標高は3089m。夏でも雪が舞うこの地は極寒。おまけに標高が高いので、少し走っただけで直ぐに息切れします。ですが、展望台からの眺めは涙が出る程の感動です。主役のマッターホルンを初め、女性的な風貌のモンテローザやゴルナー氷河などがド迫力で迫り、遠くにはユングフラウの峰々やイタリアまでが見渡せる、下界とは切り離されたような場所です。気の遠くなるような期間を経て造りだされたこの光景には、単純な感動だけではなく、グランドキャニオンやエアーズロックなどを見た時と同じ神秘性を感じました。山頂のベンチに座り、一人でこの風景を満喫します。
瞑想(?)の時間も終わり、下りの列車に乗り込みます。と言ってもツェルマットに直ぐに帰るわけではなく、途中の駅からハイキングを楽しみます。初心者やそれ程時間のない人にお勧めなのが、ゴルナーグラート駅から一つ下のローテンボーデン(Rotenboden)駅から次のリッフェルベルク(Riffelberg)駅までの1駅分を歩く約1時間半のコース。足元が少し急な部分がありますが特別な装備は必要なく、普段着とスニーカー程度で大丈夫です。私もこのルートを歩きましたが、途中に湖があり、それにマッターホルンが写る「逆さマッターホルン」が最大の見所です。
ハイキングの時間が少し早かったこともあり、歩いている人はゼロ。この風景を贅沢にも独り占めでした(後で気付いたのですが、もう少し右側から取れば左の黒い山も入らずに写真集のような一枚が撮れます)。ハイキングの終点リッフェルベルクには1件のホテル(Hotel
Riffelberg)もあり、何も遮るものの無いダイナミックなマッターホルンを自分の部屋から臨めます。非常に人気が高いものの料金は手頃ですので、特別な旅行には絶対お勧めです。
リッフェルベルクから下りの列車に乗り、ツェルマットに戻ります。下りの列車はほぼ空なのに、登りの列車は満員御礼。混みあう時間帯は乗客が集まり次第列車を出しているようで、次から次へと登り列車とすれ違います。今頃は展望台も人で溢れていることでしょう。ここに来て再度「早起きは三文の得」の意味を噛み締めます。帰りの便はのんびりとマッターホルンを眺めながらツェルマットに戻ってきました。これからパリへ向かう大移動が待っています。
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ツェルマット鉄道駅
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ゴルナーグラート鉄道のツェルマット駅
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ツェルマット村から臨むマッターホルン
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運転席からの眺めがベストかもしれません
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雲1つ無い最高の天気です
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ゴルナーグラート展望台駅
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逆さマッターホルン
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1度泊まってみたいホテル・リッフェルベルグ
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上りの列車は満席です
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10/11(木) ツェルマット〜フィスプ〜ジュネーブ〜(TER)〜リヨン〜(TGV)〜パリ
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ようやく間に合った便に乗って、再び下山です。昨日は真っ暗で全く見えなかった車窓を楽しみながらの列車の旅が始まりました。思えばツェルマットの街は一切見ていませんが(ホテルと駅のみ)、素晴らしいマッターホルンを十分に堪能できましたので悔いはありません。このツェルマット/ブリーグ間の列車は谷間を流れる川に沿って走っている為に非常に風光明媚です。乗っている人の大半が観光客ですので、殆どの車両が窓全開で身を乗り出して列車の旅を楽しんでいます。空気が澄んでいて、何とも気持ちが良いものです。もともとこの日は午後の便でブリーグに降りて、ICでベルンに向かい、ベルンから夕方のTGVでパリに向かう予定でしたが、全て予定変更です。暇つぶしに持参していたトーマスクックと睨めっこしながら、最短でパリに行けるルートを探します。
と言う訳で、最短でパリに向かうルートが確定しました。まずはフィスプで乗り換えて、昨日来た(退屈な)路線をジューブ方面へ戻ります。ここで乗車したIR(InterRegio:地域間急行)は車両は古いながら快適。イタリアとは異なり、やはりスイスは凄い国です。景色は昨日と一緒ですので、ここに来てようやく持ってきたフランス語の会話集でフランス語の勉強に励みます(次の日にパリの取引先を訪れる為)。とは言え、語学は一長一短では習得できないもの。出発から1時間でモントルーを過ぎると、再び車窓に釘付けになります。ここからは一転、左側にレマン湖が開け、次々と湖畔の洗練された町が現れる景観ルート。又、モントルー,
ローザンヌ,
ジュネーブと湖沿いに大きな都市が続く為に乗客の数も多く、最初は疎らだった1等車両も知らない間に“スーツ族”で埋め尽くされていました。
レマン湖畔の街の中でもジュネーブが最も日本人観光客にお馴染みですが、モントルーとローザンヌの間にあるヴヴェイ(Vevey)は訪れたい街のひとつです。ここはブドウの段々畑が続く風光明媚な町で、チャップリンの縁の地としても知られています。又、ネスカフェ,
ネスティー,
キットカットなどを世に送り出しているヨーロッパ随一の巨大企業ネスレの本社もあり、本社の工場では無料でネスレのチョコレート製品が食べ放題です(今年から走り始めたチョコレート列車もネスレが提供しています)。この会社はミネラルウォーターのヴィッテルやペリエ,
パスタのブイトーニ, ペットフードのフリスキー,
コンソメ類のマギーも展開しており、驚きです。
ジュネーブ駅は7番・8番ホームにフランス行きのTGVなどの列車が発着し、ここだけはフランス領。このホームに入るためには、スイスの出国とEUの入国の審査を受けなければなりません。しかしながら乗換え時間は10分のみ...。という事で超焦ってホームに走っていきましたが、審査はものの3秒。余裕でリヨン行きの“TER”に乗換えが出来ました。このTERという列車はフランス国鉄がTGVの整備などと一緒に進めている国内路線再編の一環で導入された列車で、コンセプトは「2等のみ・予約なし・高頻度」。最近は2階建ての新型車両も登場し、TGVと共にフランス国鉄の顔になる日も近いことでしょう。
リヨンのパールデュー駅に到着しました。ここからパリまではTGVしか移動手段がありませんので、早速窓口に走ります。さすがに夕方という事もあり予約の窓口は激混みです。リヨンで仕事を終えた会社員がパリに帰るのでしょうか。多くがスーツ姿です。30分以上は待たされる覚悟だったのですが窓口が多いので意外と人の流れが速く、15分程で私の番になりました。夕方のラッシュにちょうど当っており、パリ行きのTGVの1等は4便も後の19:00しか取れないとのことでしたが、5分後に出る便の2等喫煙席なら取れるということで一件落着。不幸中の幸いでしたが、ぎりぎりセーフです。
このTGVに乗ってしまえば2時間後には華の都パリに到着です。到着後にご飯を食べに行く約束もありましたが、当初の予定よりかなり早くなりそうです。乗車したTGVは最新型のデュプレックス(2階建て)で、2等の1階部分は圧迫感があるもの、人が通り抜けないので静かです(連絡通路は全て2階部分)。TGVは順調に走っていきます...といけば良かったのですが、走り始めてから1時間程の平原で突然停車。訳も分からぬまま30分以上停止し(途中何度かフランス語のアナウンス有り)、今度はバックで来た道を戻っていきます。一旦戻ったマコン(Macon)TGV駅には前後左右にTGVがたくさん待機しており、パリ行きのTGVがこの段階で全便停まっているという一大事に気付きました。こんな一大事なのに周りのフランス人だちは慣れたもので、やった事と言えば「車内販売の食料の買占め」。私がバー車両に行った際には既に食べ物は無し。フランス人乗客は既に長期戦を予想しています。
結局はパリ近くのTGV専用線路の不具合による措置らしいのですが、本来の路線は全く通れません。日本の新幹線の線路は在来線の線路に比べて幅が広い為に在来線を走ることは出来ませんが、フランスではTGVも在来線も全く同じ幅の線路を使用していますので、このマコンTGV駅から一旦在来線に移動した上で遠回り(ディジョン経由)してパリに向かいます。途中の駅では不思議そうに人々がこちらを見ていますが、仕方ありません。南方面から来る全てのTGVがローカル線を次々と通り過ぎて行くのですから。
パリのリヨン駅に到着したのは4時間遅れの午後11時過ぎ。2時間で来れるところを6時間掛けて、ようやく到着です。あまりに多くの列車が一度に駅に到着した為にホームの数も足りず、先にホームに入った列車の後に次々と到着した列車が突っ込んでいく感じで数珠繋ぎ状態です。私たちの列車の前にはニース発の列車が停まっており、後ろからは後続のリヨン発が到着しています。もちろん今日の約束はおじゃん。終いにはホテルに向かう地下鉄も逆向きに乗ってしまい、ホテルに入ったのは翌日午前1時でした。
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TERの車内
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見えないですが...数珠繋ぎのTGV
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真夜中のリヨン駅は少し物騒です
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パリは2連泊の上、2日目の10/12は1本も列車に乗らないという楽々(一般人にはごく普通)のスケジュールです。毎度ヨーロッパを訪れる際は「どれだけ多くの列車に乗れるか」ということがテーマですので、1つの都市に連泊することが少なく、寝台列車の利用も多くなります。特に今回の旅行のスイス部分は1日に10本の列車に乗った日もあり、かなりクタクタです。そんな中での終日パリ滞在ですので、心も軽やかです。
まずはカフェでのんびりと道行く人を眺めながら朝食です。これまで朝6時台にホテルを出発という日ばかりでしたので、非常に優雅な気分です。カフェのレジには煙草を買い求める人が列を成していますが、これは煙草を販売出来る店が限られている為(「TABA」という看板が目印)。フランスは喫煙人口が多い割に煙草を買える場所が少なく、いざ買おうとする時に困ったりします。
カフェと言えば思い出されるのが、オペラ座の正面に建つ人気の高級ホテル「ル・グラン・インターコンチネンタル」の1階にある有名な「カフェ・ド・ラペ」です。日本人への知名度も高く、このカフェのドリンク券がセットになったパッケージツアーもあったりすることから、シーズンともなるとカフェ中が日本人観光客で埋め尽くされる程です。もちろん歴史やロケーションあっての人気なのですが、せっかくの雰囲気も台無しです。「やっぱりパリのカフェでアンニュイな一時を過ごしたいけど、ロケーションも選びたい」という人には、シャンゼリゼ通り沿いのカフェがお勧め。場所柄やっぱり日本人は多いのですが、通りに出してあるテーブルに座って、凱旋門を眺めながらのコーヒータイムはかなりGoodです。
午前中は取引先を訪れ、午後からはたまたまパリに旅行で来ている日本人の知人とショッピングです。ショッピングと言っても私が毎度訪れるのはパリ市内のバニョレ地区にある大きなショッピングセンター(地下鉄Opera駅から3号線で約25分の終点Gallieni駅の真上)。巨大なスーパーが3階(食料品)と4階(日用雑貨)にあって、パリ市内とは比べ物にならない位に激安。また靴や服の専門店もたくさんあり、3階のピザ屋のピザは絶品!今回で4度目ですが、折りしもセール中ということもあり、懲りもせず大量の食料品(調味料,
ハーブ,ワインなど)とシャツ3枚を購入してしまいました。これだけで満足な気分です。思えばパリには何度も足を運んでいますが、ルーブル美術館などの美術関係の場所には一度も足を踏み入れたことがありません....。
パリ市内を効率良く観光するのに便利なのが、「パリビジット(Paris
Visite)」。これはパリの地下鉄・RER(高速郊外鉄道)と市バスが乗り放題になるカードで、1枚のチケットがこれらの交通機関の改札で共通で使えるという優れものです。地下鉄の最低運賃はFF8.5(約150円)で、10枚つづりのカルネを購入すればFF61(約1,000円)と安くなりますが、地下鉄からRERに乗り換える度に新しい切符を使わなければならないなどの難点も。その点パリビジットなら1枚の同じチケットが全交通機関に共通ですので手間もありません。またゾーン内の国鉄も乗り放題になりますので、使い方によってはかなりお得になります。
夕方からはフランス人の友人の家で行なわれる誕生日パーティーに参加です。28歳を祝うのもどうかと思いますが、このような行事に参加できるチャンスはなかなかありませんので、ワインと肴(おかき)を持って友人のアパートを訪れます。アパートの間取りはフランス人の一人暮らしでは普通の2K(約45u)。パリ市内にありながら、私の住んでいる大阪市福島区のワンルーム(21u)と同じ位の家賃ですので、羨ましい限りです。パーティーに来ていたのは私と同年代の若い(と呼ぶかどうかは個人によりますが...)フランス人ばかり。酒を片手に踊りまくるという典型的な欧米式のパーティーで夜が更けていきます。
さすがに踊り疲れた人たちはキッチンに集まり、しんみり同年代の談話タイム。「誰が結婚した」とか「誰が転職した」とか、20代後半の話題は万国共通です。ここで流行っていた飲物がジン&パワードリンク。このパワードリンクは正にオロナミンCと同じ味で、いかにも強くなれそうなデザインの缶に入っています。ヨーロッパではフランスでのみ販売が禁止されているようで、友人はわざわざブリュッセルで購入しています。バイアクラが買える国なのに変な感じです。
フランスという国はメジャーでありながら、フランス人の実情はあまり知られていません。「フランス人=仕事をしない」というイメージが先行していますが、決められた時間内はちゃんと仕事をこなし、残りのプライベートの時間を大切にする人種だと思います。4週間のバカンスが義務付けられている点などは羨ましい限りですが、もっと日本人もアフターファイブや余暇を楽しめるようになれば、もっと景気も(特に旅行業界の)良くなるような気がするのですが...。
日本なら11時くらいに三本締めでお開きになるところですが、全員が近くに住んでいるので翌日を迎えてからパーティーはヒートアップします。ワインがウォッカに変わり、話題も真面目な話から下ネタに移行し、私はかなり酔いも廻っていますが、フランス人たちは相変わらず元気です。このような調子でパーティーは明け方3時半まで続きました....。
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友人と凱旋門の下で
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赤いシャツの友達が主役です
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夜中だというのに皆元気です
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10/13(土) パリ北駅〜(タリス)〜ブリュッセル〜(TGV)〜CDG空港駅
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パーティーの翌朝は二日酔いと共に起床です。どうやってホテルに帰ってきたのかも不明ですが、無事で何よりです。今日の夜のフライトで帰国ですので1日ゆっくりしたいところなのですが、フランス人の友人と朝09:55のタリスでブリュッセルに行く約束ですので、ホテルをチェックアウトして北駅に向います。明日からフランス国鉄がストライキに入るということで駅は大混乱しています。
タリスが出発しました。今日はウィークエンドなので1等での食事のサービスはありません。早速、バー車両にコーヒーとサンドイッチを買いに行きます。これまで車内で売られているもので旨いと思ったものは無かったのですが、タリス恐るべし。コーヒーは1つ1つのカップがドリップ式になっていて、煎れたてが楽しめます。味も濃いめで大満足です。またサンドイッチも新鮮な具が沢山入っており、100点満点です。これらはバー車両のテーブルで食べることも出来ますが、私達は席まで持ち帰ります。1番端の1等車両の奥には「サロン」と呼ばれる6名用のコンパートメント(基本的には予約不可)がありますので、寛ぎたい時にはお勧めです(フランス国内のTGVにもあります)。
所要時間1時間25分でパリ中心部からブリュッセルの中心部に到着しました。もともとAFとSNが空路で結んでいた路線に高速列車の「タリス」が1996年に殴りこみを掛けていった形なのですが、タリスは一気に顧客を掴み、現在ではパリ/ブリュッセル間を1日最大25往復の便が結んでいます。飛行機移動は航空券料金に加え空港税,
空港までの交通費などが掛かる上に、各市内/各空港間の移動時間や空港での待ち時間を加味すると、所要時間の面からも圧倒的にタリスに軍配が上がりました。AFがこの路線から撤退し、SN自体が消滅してしまった現在では、このタリスのみがパリ/ブリュッセルの交通手段となっています(CRS上ではCDG/BRU間にAFのフライトがありますが、それらは通常のタリスの便にAFのフライト番号が付けられたものです)。
まずはタリスが発着する南駅から中央駅に向かいます。と言っても歩ける距離ですので、列車で1駅3分。まずブリュッセルのシンボルである「グラン・プラス」に向います。中央駅からこのグラン・プラスに向かう道の左側にオープンテラスのワッフル屋がありますが、ここの店のワッフル(いわゆるベルギーワッフル)がブリュッセルで一番美味しいとのこと。外側がサクサクで中がふんわりです。
グラン・プレスは壮麗なゴシック様式の建物に囲まれた石畳の広場で、各々の建物の建築様式の素晴らしさもさることながら、沢山ある彫刻やレリーフも厳かです。またこの日は週末ということで花市が行なわれており、観光客や地元の人で賑っています。ここから伸びる1本の通りは右も左もレストランとという「グルメ通り」で、どの店もお得なセットのメニューで競い合っています。ベルギーは人口に占めるレストランの割合がヨーロッパ1というグルメ大国で、主流はフランス料理。それも本国フランスよりも味やサービスのレベルが高く、料金は安いという話(料金は確かに安いです)。これからのシーズンは新鮮な海の幸(生ガキ,
ムール貝のワイン蒸し, 手長エビのグリル
etc)がお勧め。
ブリュッセルの「小便小僧」の像は、シンガポールの「マーライオン」とコペンハーゲンの「人魚姫」の像と共に“世界3大がっかり”に君臨しています(?)。恐らく像のあまりの小ささ(人間の小僧サイズ)にがっかりするのでしょうが、コンセプトが「小便」だけに奈良の大仏サイズではどうかと思います..。一般的な評価はともあれ、シーズンやイベントに合わせて衣装を着替える(桃太郎の衣装もあります)など、ほのぼのとして良い観光スポットです。この小便小僧の像の隣りに漫画専門店があり、私たちにお馴染みの日本の漫画(もちろんフランス語訳)が並んでいます。アジア諸国で人気の「ドラえもん」が無かったのは不思議ですが、「ドラゴンボール」や「スラムダンク」「銀河鉄道999」など新旧を問わず日本の漫画は人気が高いようです。又、店の奥には「HENTAI」という日本のエロ漫画のコーナーもあって、複雑な気持ちになったりします。
サベナ・ベルギー航空(SN)が消滅してしまったことで、ベルギーへの日本人渡航者は一時的に減少するものと思われます。しかしながらブリュッセルやブルージュなどのベルギーの都市は近年脚光を浴びてきていますし、国自体の魅力も十分にありますので、ベルギーは今後の注目株になると思われます。タリスでパリから日帰り、ユーロスターでロンドンと組み合わせる、オランダからフランスへ行く途中で立ち寄る....などベルギーは他のメジャーな国や都市との組み合わせが簡単ですので是非訪れて頂きたいものです。なんて思いながら...テロの影響で空港のセキュリティーが厳しくなったということなので、友人と別れて早めにCDG空港に向かいます。ブリュッセル南駅から乗車したTGVはリールを経由して約1時間40分程でCDG空港に到着です。
9日間でドイツ〜スイス〜フランス〜ベルギーと周遊し、かなりの数の列車に乗車しましたので、正直疲れました...。今回はテロ直後でキャンセルが続出し、日本国内に海外旅行自粛ムードが流れていた中でのヨーロッパ訪問でしたが、ヨーロッパ内は日本人が少ないこと以外は何も変わらず、拍子抜けしました。時期が時期だけに渡航中止も考えましたが、実際に現地に行って状況を把握する重要性を実感した旅でもありました。次回はのんびりと南イタリアにでも行ってみたいと思います。
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グラン・プラス
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小便小僧
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隠れた観光名所の小便娘
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TGV(ブリュッセル・ミディ駅)
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TGV1等車内
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シャルル・ド・ゴール空港駅の窓口
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