最新!シティナイトライン試乗記(2001.11)
CNL478 BERLINER チューリッヒ→ベルリン
11月の中旬のチューリッヒ。日本で言えば真冬に近い寒さである。吐く息もひときわ白い。そんな夜のチューリッヒ中央駅に停車する、深いブルーに鮮やかなイエローの月が描かれた列車、それが今回乗車するシティナイトライン478、ベルリナー号であった。チューリッヒはスイス第1の都会だけに、駅もショッピングセンターなどがある大きなターミナルである。そのホームにたたずむシティナイトライン478にはそれぞれの車両の入り口には専用の制服をまとった乗務員が立ち、乗客の案内をしている。
今回利用するのはエコノミーシングルという1人用の寝台であった。とりあえずラウンジカーにあるレセプションで自分の寝台の場所を確認する。レセプションのスタッフは丁寧に「41号車の16番はこのレストランの先の次の車両ですよ」と教えてくれた。親切な対応になんだかほっとする。スタッフに言われたとおり、自分の寝台へ向かった。レストランは高級感があり、通路のデザインも洗練されている。このシティナイトラインの1/2人用の寝台部分は2階建てとなっている。今回の部屋は1階なので通路から数段のステップを降りてドアを開けた。室内はそれまでのイメージ通りの機能的で快適そうな空間であった。列車なので決して広くはないが、ホワイトを基調とした内装には清潔感があふれ、コンパクトなテーブルと収納式の洗面台が並び、その奥のベッドの上には真白いシーツにくるまれた羽根布団がおいてある。とりあえず備え付けのハンガーにコートをかけて一息ついた。寝台車にはミネラルウォーターがサービスされる。この列車ではテーブルにエビアンが置いてあった。その横にはブルーのシティナイトラインのロゴが入った特製チョコレート。カワイイのでちょっと食べてしまうのが惜しい感じだ。ベッドに腰掛けてみると枕もとの上の方に上段のベッドがしまってあった。この部屋は2人用としても使用され、その場合にはこのベッドをセットして2段ベッドになるわけなのである。またベッドの横には室内の照明のスイッチや空調のボタンが整然と並んでいた。よくみるとベッドの枕もとにもライトがある。そうこうしている間に、列車は短いホイッスルを合図に静かにホームを滑り出していた。
走り出してまもなく、寝台車の乗務員がやってきた。寝台車にはそれそれの車両に1人ずつの乗務員がいて、こうして乗客の世話をしてくれるのである。チケットを見せ、ベルリンまでだというと、明日は6時に起こしにくると言い、また明日の朝食はコーヒーか紅茶かどちらがいいかと聞いてきた。そうこのシティナイトラインの乗客には無料で朝食がサービスされるのだ。「コーヒーで」と伝えた。
ちょっとくつろいでから車内探検をしてみた。この列車には、デラックスクラスの1-2人用、今回利用したエコノミークラスの1-2人用、そして、エコノミークラスの4人用という3種類の寝台がある。隣の車両にあるのがデラックスクラスの部屋で、よりゆったりとしたスペースの中に、ベッドの他に昼間用の座席や、シャワーやトイレもついている。またウェルカムドリンクとしてシャンパンもついてくるそうである。なかなか豪華で快適そうだ。カップルやまたは夫婦向きであろう。実際裕福そうな老夫婦の利用が多かったように見えた。もちろん普通に1人か2人で利用するなら今回利用した1-2人用のエコノミークラスでも十分に満足だろう。
デラックスダブル エコノミーシングル 1−2人用の部屋と同じ車両の、エコノミー4人部屋はオーソドックスなレイアウトの寝台で、2段ベッドが2つずつ向かい合わせについている。そしてその間の窓の下にはテーブルと洗面台があり、寝るまではその下段のベッドが座席代わりとなる。ここも快適そうでファミリー層にはベストであろう。料金も高くないので、相部屋で1人旅の人にもいいかもしれない。
続いてレストランカーをを越えていくとクシェットの車両となる。クシェットは簡易寝台とも訳されるが、これは通路と、ガラスのドアとカーテンで簡単に仕切られた部屋に、3段または2段のベッドが備えつけられたタイプの車両である。つまり6人または4人部屋ということになる(3段ベッドは上体が起こせないのでややきつい)。日本にはあまりこれに近いものがないのでイメージしにくいが、ユースホステルなんかのドミトリーといった感じである。洗面台はついておらず、寝台のようなちゃんとしたカギはないので完全なプライバシーは保てないが、枕や毛布も付いていて簡単に横になれるという点で便利だろう。料金はよりリーズナブルなので、若い人やグループ旅行向きだと思う。
さらに次の車両はスリーパレットという座席車である。ここには通路をはさんで2列ずつ大ぶりのリクライニングシートが並んでいる。ブルー地のシートとモダンな内装がカジュアルな雰囲気をつくり開放感もあってこれはこれで快適そうである。もちろんプライバシーはないが料金は一番安いのでちょっとオススメしたい。
6人用クシェット スリーパレット そうしてうろうろしている内に列車は2つ目の停車駅、バーゼルに到着した。バーゼルは大企業の本社が集中するスイス第2の街で、ドイツやフランスにも面した国際都市として知られる。ここからもかなりの乗客があり、寝台が埋まっていく。そして十数分の停車の後、列車は再び走り出した。バーゼルのドイツ側の駅、バーゼルBad駅を過ぎると、ここから先はもうあまりお客さんは乗ってこないようで、車内の雰囲気も落ち着いてきた。
そろそろ、ということでレストランへ行ってみた。ただ実際乗車前に食事はすませてしまったので、とりあえずコーヒーでもといったところである。車両は半分がレストラン、半分がバーラウンジとなっている。レストランの方は天井あたりに星をちりばめたようなライトが光っていてオシャレな雰囲気である。席は4人用と2人用のテーブルがそれぞれ3つずつ18席だがすでに満席である。運ばれている料理も並んでいるワインも美味しそうだ。バーラウンジ方もシックな照明で落ちついた感じである。とりあえずコーヒーを注文すると3フランであった。席に着いてタバコに火をつけた。この列車内でタバコが吸えるのはこのラウンジ内だけ(室内、通路、レストランは全て禁煙)なので、吸いだめしておくことにする。奥の方ではお客さんたちがビールを片手に楽しそうに騒いでいた。
食堂車さて明日の到着はそこそこ早いので部屋に戻り、荷物の整理をして洗面台で顔を洗うと11時過ぎであった。もう寝ることにする。ベッド横のスイッチでライトを消すと室内は真っ暗になった。時折街や駅を通過する瞬間だけ少し窓が明るくなる。すぐには寝付かれなかったが、今はマンハイムあたりかなと考えているうちに列車の微妙な揺れが眠気を誘ってくる。気が付くとすっかり眠りに落ちていた。
コンコンというノックの音で目覚めた。カーテンを開けてみるとまだ外は真っ暗だったが、時計を見ると確かに6時である。朝起きは苦手だが、がんばって起きなければ。洗面台の熱いお湯で顔を洗うとだんだん目がさめてくる。服を着替えてジーンズをはいた頃、昨日の乗務員が「グーテンモルゲン」とブルーのトレイに入った朝食を運んできた。あったかいコーヒーがうれしい。クロワッサンとロールパンにチーズというコンチネンタルスタイルで、朝にしては十分である。のんびりと外を見ながら食べているとわずかずつ空が白みはじめた。到着は7時過ぎなのであんまりゆっくりはしていられない。歯を磨いて身支度をはじめる。ほどなく列車はベルリンの最初の駅Wansee駅に到着した。もう市内に入っている。続いて停車するのはクーダム通りなどの中心部に近いZoo駅。ここでお客さんの大半は下車していく。
そして7時39分ほぼ定刻でこのシティナイトライン478ベルリナー号は終着のOst駅のホームに滑り込んだ。チューリッヒを出てほぼ12時間後である。もう空はすっかり明るくなり、変貌を遂げる新しいドイツの首都、ベルリンの街を照らし出している。このシティナイトラインは今まで利用した夜行列車の中で間違いなく一番快適だったと思う。乗務員に礼を言って列車を降りた。吐く息はまだ白かった。
COPIES ARE WRITTEN BY TOMOAKI HAYASHI
ALL RIGHTS RESERVED / 無断転載を禁じます
シティナイトラインのより詳細な情報はこちらをご覧下さい。
CityNightLine シティナイトライン料金表(2002年10月)
料金は全て乗車券、寝台(座席指定)料、通信費等を含みます。
デラックスSGL
エコノミーSGL
デラックスDBL
エコノミーDBL
エコノミーT4
クシェット リクライニング
ノーマル
\47,600
\36,300
\30,100
\22,000
\20,200
\15,500 \14,900
パスホルダ−
\22,300
\13,400
\15,600
\9,000
\6,000
\4,300 \2,300 運転区間
478/479ベルリナー ☆チューリッヒ・バーゼル・フランクフルト⇔ベルリン
471/473コメット ☆チューリッヒ・バーゼル⇔ハノーバー・ハンブルク
212/213ドナウクーリエー☆ウィーン・ザルツブルク⇔フランクフルト・ケルン・ドルトムント